「いつもながら美味しいですわね、迅風さんの料理」
姉さんの言う通り、本当に迅風の料理は美味しいわね。
「龍巫女の日華さんにそう言ってもらえると、オイラも嬉しいわ!」
迅風は料理を食べながら喜ぶ。
ああ、ついでに龍巫女の説明をしておこうかしら。
龍巫女というのは光白龍族なら龍光力、闇黒龍族なら龍闇力を持つ女性の事。
龍の声を聞くことが出来る唯一の存在で、14才の時に『巫女の儀』という儀式をして、正式に龍巫女になるの。
あと、一年に一回ある龍祭りの時に唄ったり踊ったりするの。
それから日課として、龍に祈りを捧げるのよ。
ちなみに、光白龍族の龍巫女は『光の龍巫女』、闇黒龍族の龍巫女は『闇の龍巫女』って呼ばれている。
それで、その『光の龍巫女』が姉さんってわけ。
「恵炎もおいしいご飯が食べれて幸せですぅ」
「お、ありがとな、恵炎ちゃん」
「でもぉ、どうして迅風くんはぁ、上手にお料理が出来るですかぁ?」
恵炎は迅風の作った料理を見ながら言う。
「恵炎が作るとぉ、いつもお台所が爆発するですぅ……」
「…………」
その場にいた全員の動きが止まる。
そういえば、恵炎の料理の腕はどうしようもないほど悪いのよね。
何をどうしたら台所が爆発するのやら……。
「……恵炎、絶対に台所には立つなよ……」
土穏はぼそっと呟く。
何せ土穏は恵炎の料理の(爆発の)数少ない被害者なのだから。
「お兄ちゃん、ヒドイですぅ!」
恵炎は土穏に抗議する。
「あの爆発を食らって、傷だらけになる俺のことも考えろよ……」
「うぅ……」
土穏の重みのある言葉に恵炎は絶句する。
確かに、恵炎が料理をした後、爆発で傷だらけになるのは土穏なのよね。
しかも、不思議な事に恵炎の方は何故か無傷で……



  

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