「あぁ、美味しかった」
「ごちそうさまでしたぁ」
迅風の作った料理を一つ残らず食べ終わる。
まぁ、こんなに美味しい料理を残すなんて勿体無いからね。
「ほんなら、片付けるか」
「手伝うわ」
迅風と凛泪が皿を片付け始める。
「それじゃあ、恵炎はちょっとお出かけするですぅ」
「ん? 何処へ行くんだ、恵炎?」
土穏が恵炎に聞く。
「少し森をお散歩するですぅ」
私たちの住んでいる所は森に囲まれている。
比較的安全な森なんだけど、時々魔物が出るのよね、あそこ。
「あまり遠くへ行くんじゃないぞ」
「分かってるですぅ、お兄ちゃん。それじゃあ、行ってくるですぅ」
そう言うと、恵炎は早速出かける。
土穏はその後ろ姿を見えなくなるまで見ていた。
「クスッ、相変わらず妹思いね、土穏?」
「べ、別にそんな事ないさ……」
土穏は少し頬を赤らめる。
本人はああ言っているけど、土穏は妹思いなので有名なのよね。
でもまぁ、無理もないわよね。
土穏と恵炎の両親は、恵炎がまだ小さかった時に、闇黒龍族に殺されたから……。
「まぁ、そんな心配せんでも大丈夫やで、土穏。恵炎ちゃん、あれでなかなか強いんやし」
「ああ……」
それでも土穏は心配そうにしている。 ……なんだか、妬けるわね。
……って、何言っているのよ、私は……



  

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